ZOOMOは周りを山に囲まれた“里山の中にある動物公園”です。園内には森林、草地、池、沢などの多様な環境があり、四季折々の植物や昆虫、両性爬虫類、鳥類、哺乳類など、様々な野生動植物を観察することができます。また、森林浴をしながら森を散策することができるネイチャーループや、野生生物を身近に感じることができるビオトープなども整備されています。ここでは季節ごとの見どころやおすすめポイントをご紹介します。
春になると温かい日差しと共に植物が芽吹き、たくさんの生き物たちが活動を始めます。
カエルやサンショウウオは、春になると四季の森にあるカエル池やピクニック広場にあるトンボ池で産卵をします。卵は透明のゼリー状の袋に包まれていて、その形状で種類を見分けることができます。ヤマアカガエルは1つの卵塊から1000~2000匹が孵化するため、4~5月にはカエル池でたくさんのオタマジャクシを観察することができます。また、4~5月にはトウホクサンショウウオの卵塊も見られ、運が良ければ卵の中に孵化前の幼生を見ることもできます。
成虫で越冬するシータテハなどのタテハチョウの仲間は、3月頃から見ることができます。5月頃になると草地でウスバシロチョウがフワフワと舞い、四季の森では縄張りを持つコミスジなども見られるようになります。
春から初夏にかけては園路で葉を筒状に丸めた“揺籃”を見つけることがあります。これはオトシブミの仲間が産卵をして丸めたものです。園路沿いの植物には色とりどりに輝く小さなハムシやゾウムシの仲間もたくさん見られます。
春になると四季の森のカエル池ではミズバショウが咲き、牧場エリアのハクモクレンや鳥類ゾーンのカタクリ、園路沿いのオオヤマザクラやトサミズキ、ヤマブキなど、美しい花々が園内の各所で咲き始めます。5月に入ると芝生広場にあるハンカチノキが花をつけ、ハンカチのような白くて大きな苞葉はとても美しく、見られる時期も短いので一見の価値ありです。
みなさんは身近な植物で草花遊びをしたことがあるでしょうか。園内には四季折々で様々な表情を見せる草木があり、それらを使って遊ぶのもZOOMOの楽しみ方の一つです。
春にはシロツメクサの髪飾りやタンポポ笛を作ったり、夏にはササ舟を作ったり、ホオノキの葉っぱでお面や飛行機を作ったり。秋にはドングリや落ち葉で工作をするなど、野原には遊びのアイディアで溢れています。作り方はZOOMO STATIONで聞いてみましょう。
たくさんの草木が花を咲かせ、実をつけ始め、色々な種類の虫たちが姿を見せて、夏は自然とふれあうのが最も楽しい季節です。
7月になると芝生広場周辺などでアジサイが見頃を迎えます。アジサイの花にはヨツスジハナカミキリが集まります。7月中旬には芝生広場でリョウブが咲き、稲穂のように集まって咲く小さな花には、ヒョウモンチョウやハナバチの仲間がやってきます。いろいろな花を探し、そこで花粉や蜜を食べる虫を捕まえて観察してみましょう。
園内のいたるところで鳴くセミの声に注意を向けてみましょう。木の高いところにとまっていれば捕まえられませんが、セミは種類によって鳴き声が違い、また活動する明るさや気温が種類によって違います。下の表を使うと、いろいろな種類のセミの鳴き声を聞き分けることができますよ。ニイニイゼミやヒグラシは比較的園路沿いの木の低いところで鳴くことが多く、見つけやすいので、捕まえて観察してみましょう。
主なセミの鳴く時期と時間帯 | |||
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種類 | 鳴き声 | 活動する時期 | よく鳴く時間帯 |
ヒグラシ | カナカナカナ | 6月中旬〜8月 | 朝と夕方 |
ニイニイゼミ | チ〜〜〜〜 | 6月中旬〜8月 | 一日中 |
ミンミンゼミ | ミーンミンミンミンミー | 7〜9月 | 朝〜昼 |
アブラゼミ | ジージリジリジリ | 7〜9月 | 昼〜夕方 |
ツクツクボウシ | オーシーツクツク | 7〜9月 | 昼〜夕方 |
晴れてぽかぽかと温かい日には、園路脇でニホンカナヘビが日向ぼっこをしている姿をよく見かけます。カナヘビは“ヘビ”と名が付きますがトカゲの仲間です。平地から低山地までの藪や草地、民家の近くにも棲んでいて、夏の終わりには赤ちゃんトカゲに出会うこともあります。園内にはアオダイショウやシマヘビなどのヘビも暮しており、園路を横切っているところに遭遇することもありますが、大人しい種類ばかりですので、そっとしておいてあげて下さいね。
夏に虫捕り網を持って来園するとZOOMOがもっと楽しくなります。コナラやミズナラなどのドングリのなる木やヤナギ、カエデなどから樹液が出ている場所を見つければ、クワガタムシやコガネムシやチョウの仲間など、樹液に集まる虫たちに出会えるかも。カラスアゲハやクロアゲハなど特定の種類のアゲハチョウの仲間は“チョウ道”と呼ばれる同じルートを飛んでいますし、オニヤンマは縄張りを巡回しているので、もし捕まえられなくても何度もチャンスはやってきますよ。
※気を付けること
①「危険なところには入らない」…ロープや柵で入れないようにしてある場所や、急な斜面などには近づかないこと。また、池や沢の近くも注意が必要です。
②「必要な虫以外は逃がしてあげる」…家で飼う、あるいは標本にするなどの目的がある虫以外は、観察をしたらその場で逃がしてあげましょう。
③「自然を大切にする」…来年の再来年もその場所でまた虫捕りができるよう、虫が棲む場所を大切にしましょう。
④「周りに気を付ける」…虫を追いかけるのに夢中になりすぎて、周りの人に網をぶつけてしまったり、迷惑をかけないように気を付けましょう。
⑤「毒を持っている虫、攻撃してくる虫には注意する」…スズメバチ、ハネカクシ、ツチハンミョウ、ブヨなど、体液がつくと皮膚がかぶれたり、刺されるとケガをする恐れのある昆虫もいますので、十分注意をしましょう。
秋になると、アカトンボの仲間のアキアカネがたくさん飛び交い、コオロギやキリギリスたちが鳴き始めます。また、木々の葉が紅葉してきれいに色づきます。
秋には紅葉で園内が染まります。紅葉する代表的な植物カエデの葉と言えば、手のひらのような形を思い浮かべると思いますが、種類によって形は様々です。ビクトリアコーナー付近ではイタヤカエデ、ハウチワカエデ、ウリハダカエデ、サトウカエデなど、いろいろな種類のカエデやモミジが観察できますので見比べてみましょう。また、園内のあちらこちらでコナラやミズナラのドングリを見つけることができます。木の実を集めて工作をしてみるのも面白いでしょう。
秋晴れの日にはたくさんのアカトンボの仲間が園内を飛び回っています。園内で最も多く見られるのはアキアカネで、羽が透明なことや胸にある三本の黒い線のうち真ん中の線が上にいくほど細く尖っていることで見分けられます。この他にもナツアカネ、ノシメトンボ、マユタテアカネなど様々な種類のアカトンボの仲間を観察することができますが、羽先色や顔の模様、胸の模様で見分けることができるので、捕まえて見比べてみましょう。
バッタやコオロギ、キリギリスの仲間は夏~秋に成虫になり、秋の訪れとともに園内のあちらこちらで鳴き声が聞こえるようになります。これらは種類によって好む環境が違い、林縁では草丈が長く乾いた場所を好むウマオイ、ヤブキリなどのキリギリスの仲間が多く見られ、草地ではエンマコオロギやシバスズなどのコオロギの仲間が隠れています。園内で聞こえる季節の音に耳を傾けるのもZOOMOの楽しみ方のひとつです。
落ち葉や木の実を景色として楽しむだけでなく、松ぼっくりや木の実を使ったリース作りや、ドングリでコマや人形を作るなど、おもちゃやインテリアとして楽しむ方法もあります。綺麗な葉を集めて押し葉標本を作るというのも面白いでしょう。直径2~3cmの乾いた枝に下穴を開けてボルトをねじ込めば、バードコール(野鳥が鳴き返したり、寄ってきてくれる道具)を作ることもできます。どんなものが作れるのか、どこでどんな材料を集められるのか、ぜひZOOMO STATIONで聞いてみましょう。
冬になると昆虫は姿を見せなくなり、植物は様々な方法で厳しい寒さを乗り切ります。冬ならではの自然の楽しみ方に触れてみましょう。
冬になって気温が下がると、樹木は乾燥した地中から水分を吸い上げにくくなるため、水分が逃げやすい葉を落として、水分が失われるのを防ぎます。春に活動を再開するために芽吹きを待つ冬芽には、ハクモクレンやコブシのように柔らかい毛で覆われたものや、トチノキのように粘液でベタベタするもの、コナラのように固いうろこ状になっているものなど、厳しい冬を乗り越えるための知恵が詰まっています。また、葉を落とした跡の葉痕も樹木ごとに特徴があり、人の顔のようで見比べると面白いですよ。
園内にはニホンカモシカ、ホンドギツネ、ホンドタヌキ、ニホンアナグマ、ホンドテン、ニホンリス、ノネズミなどたくさんの野生動物が生息しており、雪が降るとその活動の様子が足跡として残ります。足跡の大きさや形、並び方から動物の種類が分かるだけでなく、どちらに向かっていったのか、歩いていたのか走っていたのかなども分かり、動物たちの暮しぶりを想像しながら園内を回ると、散策が一段と楽しくなります。
落葉広葉樹の葉が落ちたあとは、これまで葉があるため見つけにくかった野鳥を見つけやすくなる、野鳥観察に最適のシーズンです。シジュウカラ、ヤマガラ、エナガなどの混群や、ベニマシコ、キレンジャクなどの冬鳥、コゲラやアオゲラなどのキツツキの仲間など、様々な野鳥を観察することができます。園内にはビオトープも整備されていますので、双眼鏡をもってZOOMOに来園すると、冬の動物公園がさらに面白くなるかもしれませんよ。
ZOOMOで園路を横切るニホンリスを見かけた経験がある方もいるのではないかと思いますが、多くの方はそこに動物たちが暮らしていると分かっていても野生動物に出会うことは難しいものです。しかし、野生動物たちは様々な形で暮らしの痕跡を残しています。例えば、真っ二つに割れたオニグルミの殻や、種子を食べ終えてエビフライのような形になった松ぼっくりを見つけたら、それはニホンリスの食痕です。ホンドタヌキはため糞と呼ばれる共同トイレを作り、個体間のコミュニケーションに利用すると言われていますが、ネイチャーループでため糞に出会うこともあるかもしれません。そんな痕跡(フィールドサイン)を探しながら散策するのも面白いですよ。