生態
ピューマはメスよりもオスの方が大きいですが、それ以上に地域差があり緯度が高いほど体が大きく、体重が2倍以上違うことがあります。これは気温に対する適応でベルグマンの法則の良い例となっています。体毛は灰色、黄褐色、赤褐色など変化があり、口の周りから腹部にかけては白色、尾の先と耳の裏は黒色の被毛です。前足に対して後ろ足が大きく、大型ネコ科の中で最も発達しています。素晴らしいジャンプ力で5mの高さまで垂直に跳び上がることができ、また助走なしで12mの幅を飛ぶことができます。その時に長い尾がバランスをとるのに役立ちます。草原・森林・高山・海岸付近など様々な環境に生息して狩りができるのもこのおかげです。ウサギ・ネズミ・鳥・ヘビなどの小さい動物の他に、力強い足でシカなどの大きな動物を襲って食べます。ピューマは喉頭を自由に上げ下げできないため、ライオンのように「ガオー!」と咆えることはできません。遠くにいる仲間と声でコミュニケーションをとることは出来ず、声でなわばりを誇示することはありません。近くにいる仲間とは喉をゴロゴロ鳴らしたり、「ニャオ!」とネコのように鳴いてコミュニケーションをとります。威嚇する時もネコと同じく「シャー!」です。夜行性で繁殖期以外は単独で生活し、2~3才で性成熟します。妊娠期間は約3ヶ月間、一度に2~4頭の子を出産します。約2.5ヶ月で離乳し、約14か月齢で母親から独立します。寿命は野生下では約12年、飼育下では20~25年ほどです。北米では19世紀末から多くの州でピューマを害獣指定し駆除してきました。それは家畜が襲われる被害があったことに加え、大型肉食動物ゆえの人々の恐怖心が手伝ったからです。さらに交通事故、開発地の生息地の減少、また生息地の孤立化が生息数減少に拍車をかけ、北米の東部では生息数が激減して絶滅したとされている地域もあります。現在ピューマは法律で保護されるようになりましたが、地域によっては現在も厳しい状況が続いています。将来ピューマが動物園でしか見られない動物にならないように、生態系全体のバランスを保ちながら環境保全を続けていく必要があります。
国際希少野生動植物種に指定されています。