お知らせ

2025.08.09
おしらせ

令和7年3月 動物医療費のご支援についてのご報告とお礼

令和7年3月も、たくさんのご支援ありがとうございました。

ご支援額と使徒の詳細はこちらをご覧ください

令和7年3月 動物医療費のご支援についてのご報告とお礼

 

3月の動物たちの診療についてお知らせいたします。

2月に引き続き治療が立て込みました。シタツンガのオス“チャチャマル”は左蹄のケガの治療を続けています。抗生剤の内服を続けながら定期に麻酔をかけて蹄が回復しているかを確認しています。今回の処置で、傷の修復が進んでいることが確認できました。血液検査の結果も良好で貧血傾向も回復していました。どうしても“チャチャマル”は麻酔時に興奮してしまい、麻酔が効きづらい傾向にあります。安全でストレスが最小限で済むような麻酔計画が今の課題です。

また、3月21日には後肢の骨折で長期入院中の野生のニホンカモシカの断脚手術を行いました。先月、全身状態の再評価のための検査の結果を受けて、病院チームと飼育員で話合いを行った結果、断脚手術を行うことになりました。手術はとても時間がかかりましたが無事に終了しました。麻酔から覚めた姿に安堵しましたが、この先の治療やケアについて十分に検討していく必要があります。

今回の手術ではご寄付でいただいた人工呼吸器を使用しました。手術中は麻酔の影響で呼吸が弱くなったり不安定になったりすることがあり麻酔深度により自発呼吸が停止することもありますが、人工呼吸器が呼吸停止を感知して自動で人工呼吸が開始されます。通常は麻酔が覚めてくれば自然に自発呼吸も再開します。手術を行う際は、常に心電図のモニターの音や、胸の動き(呼吸)などに注意を向けていますが、人工呼吸器があるとより手術に集中することができ、長時間の麻酔のリスクを減らすことができます。今回無事に手術を終えられたのも、人工呼吸器をご寄付いただいからだと改めて実感しました。

高齢のニホンザルのメス“No.63”の治療も行いました。先月の半ばから顔色が悪く、血液検査やエコー検査を行った結果、腎臓と心臓が悪い可能性が高いことが分かりました。内服をしながら点滴治療を行っていましたが、点滴は体を保定して行う必要があるためいやがる個体がほとんどです。高齢のおばあちゃんにどこまで積極的に治療を行うかは常に葛藤がありますが、多少のストレスがかかってもそれ以上の治療効果が得られるかどうかや、個体の状態、性格などを総合的に判断して治療の方針を決めていきます。これは飼育担当の個体の“見極め力”も必要で一緒に判断していきます。残念ながら3月26日に“No.63”は亡くなってしまいましたが、ここ数年でニホンザルの治療例が増えています。異常の早期発見と早期治療をこれからも意識していきたいと思います。

他にも、ニホンアナグマのオス“おじおじ”の陰茎脱の処置と健診、ニホンリスのメス“No.323”の皮膚炎の確認と健診などを行っています。

今後も医療レベルの向上を目指していきますので、引き続きのご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。

病院チーム 松原ゆき・滝本明佳・早川温子・富岡美千子・辻本恒徳