令和6年7月も、たくさんのご支援ありがとうございました。
ご報告が大変遅くなりましたが、7月の動物たちの診療についてお知らせいたします。
7月の初めにZOOMOでは日本初のゾウの人工授精という大仕事を終えました。ドイツから専門家を招いて行ったのですが、花巻空港まで迎えに行って実際に会うまで本当に来てくれるのか内心ドキドキしていました。血液検査でのホルモンの確認をしつつ、アフリカゾウのメス“マオ”の子宮や卵巣の状態を確認するエコーのタイミングを計ります。これまで約2年間にわたりトレーニングを行ってきた成果もあり、鎮静なしでエコー検査をすることができ、心配されていた子宮などの病変も見つかりませんでした。まずは第1関門突破です。卵巣の状態とホルモンの検査を確認しつつ授精のタイミングを見極めます。専門家の先生方の来日3日目、帰国する日の早朝から人工授精を行うこととなりました。長い間じっとしてもらう処置になるので、“マオ”に鎮静をかけます。エコーで確認するとちょうど排卵したばかりの様子。良いタイミングでの授精となりました。用いた精液は南アフリカの野生のオスゾウから採られたものです。2頭分、合計4本の精液を注入しました。あとはなるべく“マオ”にストレスをかけずに妊娠してくれるのを願うのみです。妊娠したかわかるのは3か月半ほど先となります。
その後まもなくトウホクノウサギの幼獣が保護されました。まだ哺乳が必要な日齢で、ミルクを与えながらいろいろな野草を採ってきて離乳を試みましたが、残念ながら急激にお腹の調子が悪くなり、亡くなってしまいました。ノウサギは離乳のタイミングで体調不良を起こすことが多く、ここを乗り切れる確率を上げていくのが今後の課題となります。なお、ノウサギは生まれたころから親子ばらばらで過ごす時間がとても長く、子どもが1頭でいても安易に保護しないのが基本ですが、今回は民家に迷い込んでしまったという特別な事情があり保護していました。
月末にはホンドギツネのオス“がんづき”が右足を引きずるような動きからその後まもなく両後肢が麻痺して立てなくなってしまったので、原因を調べるため岩手大学でCT検査を行いました。背骨の中に腫瘍を疑う病変があり、手術などの治療は難しいことがわかりました。今後は対症療法やケアを行う予定で方針を相談していきます。
今後も医療レベルの向上を目指していきますので、ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。