たくさんのご支援をいただき、ありがとうございました。遅くなりましたが、令和4年12月の動物医療費のご支援額や使途についてご報告します。
毎年秋にはニホンザルの健診を行います。健診ではニホンザルを1頭ずつ捕まえてマイクロチップや健康状態を確認しますが、捕獲には選定した個体に不妊手術を行うという大きな目的もあります。これは、自然に任せて繁殖を続けるとサル山が密になりすぎて飼育環境が悪化したり、血縁が濃くなりすぎたりする問題を防ぐためです。全頭健診は無事に終わりました。しかし、数日後にケンカで大ケガを負った個体が見つかり、12月はこのニホンザルの回復に努めた1ヶ月になりました。
残念ながら最終的に右脚を断脚することになりましたが、5時間かかった手術は無事に終わり、現在は自力歩行を目指してリハビリを行っているところです。ニホンザルは繁殖期にオス同士のケンカが日常的に見られますが、ケンカがひどくなる要因として、前述したように飼育環境や密度も影響している可能性があります。ケガをしたニホンザルが回復するよう治療を続けながら、ひどいケンカにまで発展しないように環境を工夫したり、弱いサルたちの逃げ場を沢山確保したりするなど、ニホンザルたちがよりよく暮らせる環境に改善していくための話し合いも行いました。原因の追及と改善が重要であることを改めて認識しています。
話は変わりますが、これまでみなさんにご協力いただきながら動物たちの医療環境の向上に努めて参りましたが、12月に新たに血球計算機を購入し、麻酔器やレントゲンの機械が性能の良い物に更新しました。これは、新しい動物病院の建設計画に伴うものですが、みなさんの寄付や応援により動物園動物の医療の重要性が認識されつつある結果だと思っています。今回機器を購入したことで、これまで動物園内で出来なかった検査ができ、これまでよりも安全に麻酔をかけることができるようになりました。動物たちにとって充分な医療環境があることは、動物の命を預かる上で基本であることを忘れず、この先も動物園動物の医療向上に努めたいと思います。こらからも皆さんの応援・ご支援をよろしくお願いいたします。