たくさんのご支援をいただき、ありがとうございました。大変遅くなりましたが、令和4年11月の動物医療費のご支援額や使途についてご報告します。
11月は診療が多く慌ただしい1ヶ月になりました。16日には新たにウシ科のシタツンガが2頭仲間入りしました。動物の移送には細心の注意を払っていますが、メスの“№10”を寝室に移動した後に後肢を挙げてかばう様子がみられました。念のために18日に麻酔下で検査をしましたが、幸い脱臼や骨折などの大きなケガは見られず、その後の治療で大分回復しています。動物たちの移送は大きい動物でも小さい動物でも、送る時も迎える時も、無事に寝室に入るまで安心できないものですが、動物たちはそれ以上の緊張と大きな不安を抱えていることを忘れず、今後も動物たちの安全な移送を心掛けたいです。
11月はポニーたちのワクチン接種の月でもあります。ワクチンと一緒に血液検査を行い健康状態も確認します。馬にも多くの伝染病があり、いくつかはワクチンで予防することができます。ZOOMOのポニーたちは元気に走り回っていますが、この先もみんな健康に暮らせるよう病気予防に努めたいと思います。
また、11月24日には、しばらく治療を継続していた野生のハヤブサを岩手県鳥獣保護センターに移動することになりました。ZOOMOでは傷ついた野生鳥獣の救護も行っていますが、岩手県鳥獣保護センターとも連携して治療やその後の飼育を行っています。このハヤブサは肩の炎症で飛ぶことができなくなり、野生復帰を目標に治療を行っていました。しかし、残念ながら野生復帰は叶いませんでした。保護された野生鳥獣が無事に野生に帰れる確率はとても低いのが現状で、このハヤブサも終生飼育となりました。そもそも肩を痛めた原因は分かっていませんが、人為的な要因で野生動物たちが傷つくことがないよう、人と野生動物が上手く共生できる社会を目指したいです。
また、11月30日には、長らく動物病院でケアを続けていたヤギの“ゆい”が亡くなりました。“ゆい”は、これまで「この冬は超えられないかな…」を2回も乗り越え、私たちに生きる姿を見せてくれました。それに答えるように、私たちは“ゆい”の終末期を無理なく過ごせるよう考えてきました。“ゆい”を診ていると、治療を諦めることはしないが、自然に老いていく体や病気に干渉しすぎないことも選択肢の一つだと考えるようになりました。すべての動物が“ゆい”と同じような最期を迎えられるわけではなく、同じようなケアが必要なわけでもありません。それぞれの動物種、個体の特性や性格、その時の状況を正しく判断して治療やケアの方針を決め、責任をもって実行することが私たちの務めだと感じます。“ゆい”は動物病院で最期を迎えましたが、それまでの長い人生のほとんどを仲間のヤギたちとのんびり暮らし、たまに来園者の皆さんにやさしく撫でてもらうような、そんな穏やかな人生でした。最期はたくさんの人に応援してもらい、多くの人がその一生から様々なことを感じ、考えるきっかけになってくれました。今は感謝しかありません。
これからも皆さんからの応援やご支援が動物たちに届くよう、診療を続けていきたいと思います。