新しく、クロサイのメス“ラン”が仙台市八木山動物公園フジサキの杜より仲間入りします。
“ラン”は、2022年10月3日(月)に到着予定です。到着はまだ先ですが、移動のためのトレーニングを開始することと合わせて情報公開となりました。
「当園のシロサイの飼育経過とクロサイ導入までの経緯」
当園では1991年のアフリカ園オープンに合わせて飼育を開始したオスの“サイスケ”と1992年に来園したメスの“サイカ”の2頭のシロサイを飼育していました。とても仲が良い2頭でしたが、残念ながら繁殖にはいたりませんでした。その後、2002年にオスの“サイスケ”が舌腫瘍、急性心不全で亡くなり、以降はメスの“サイカ”を単独で飼育することとなりました。その間も新しいオスの導入を検討してきましたが、残念ながら国内での繁殖例がとても少なく、導入は困難でした。
“サイカ”はその後、単独での飼育ではありましたが、ほとんど病気やケガも無く、当園の飼育動物の中でも指折りの、健康で丈夫な個体でした。その後も元気に暮らし2021年6月18日に46歳というシロサイの中でも大変高齢な年齢で亡くなりました。晩年は皮膚の疾患や疝痛症状を患い、懸命な治療を試みましたが、加齢によって悪化と良化を繰り返すようになり、思うような回復が見られずに残念ながら老衰によりその生涯を閉じました。
“サイカ”は来園から約29年間と当園屈指の長期にわたり来園者の皆様に迫力ある姿を楽しんでもらうとともに、その優しく人懐っこい性格で、ふれあい体験のイベントも数多く実施し、多くの方にたくさんの思い出を残してくれました。
現在当園は休園し2023(R5)年のリニューアル開園に向けて準備を進めておりますが、数年前より、リニューアルを含めた動物のコレクションプランを検討した際には、”サイカ“が高齢だったこともあり、近年中に予めこうした事態となることは予想していましたので、今後も他園からのシロサイの導入を検討し続けるのか、それとも他の動物種の展示を目指すのかなど、新たな動物種への展示変更まで視野に入れ様々な議論をしてきました。
クロサイへの展示変更を検討するにあたり、当園のコレクションプランとして、「アフリカのサバンナや生態系に思いを馳せ、生物多様性の再発見を促す。」こと、その繁殖収集方針「盛岡ならではの特色と持続可能性」として、計画的かつ独自性のある展示の継続、将来の飼育頭数維持の可能性、アニマルウェルフェア、シンボル的な動物、生物多様性、環境教育を考慮することにより、アフリカに生息する大型動物の導入があり、このプランを満たすものとしてはクロサイが適当であるということとなりました。
またクロサイを選定にあたり重視した点として、クロサイはオスもメスも単独で生活する種であるため、繁殖に群れ飼育が必要なシロサイとは大きな違いがあることから、将来的にペアができるまで単独飼育の期間があったとしても飼育環境への配慮により問題にはならないと判断し、クロサイの導入を目指すこととなりました。また、クロサイは希少動物として保全のための飼育園館拡大が望まれていることも導入を決定づける要因となりました。このように当園のコレクションプランに基づいた選択であり、展示効果のみならずクロサイの生活の質の向上や動物福祉への配慮を十分に考えた上での決定です。
現在、リニューアル工事の中で、展示場及び屋内の施設はクロサイの飼育に合わせた改修を進めており、クロサイ本来の行動を発現できるよう(泥浴び場、体や角を擦る場所など)、当園が掲げる動物福祉の取り組みを実現できるよう進めています。そして、仙台市八木山動物公園のメス1頭(愛称“ラン”)を迎え入れることが決まると同時に、担当職員が視察に行き、八木山動物公園での飼育方法や施設を参考とするほか、“ラン”の健康管理と福祉向上のため、動物が自発的に採血や体重測定に協力してくれるようにするトレーニングなどを引き継ぐ準備を進めてきました。また、“ラン”が来園する際には事前に担当職員と当園の獣医が八木山動物公園に訪問し、“ラン”の移動に帯同することにしています。
“ラン”が来園した際には八木山動物公園より引き継いだ飼育方法とトレーニングを継続し実施することにより“ラン”との信頼関係を築きながら、適切な飼育管理・健康管理を行ってまいりたいと考えています。そして将来的には繁殖相手となるオスの導入を目指し、繁殖の新たな拠点となるよう準備を進める予定です。
来春のリニューアル開園に合わせて、新たにアフリカ園で展示することとなるクロサイを楽しみにしていただくとともに、開園しましたら多くの方々に大型動物ゆえの迫力ある姿をご覧いただきたいと思います。皆様のご来園をお待ちしております。