9月23日(水)に亡くなった、ホンドギツネのオス“はっさく”ですが、生前に発信していなかった病気に関する詳細や、亡くなったことで初めてできた検査など、改めて経緯や死後の検査でわかったことをお知らせいたします。
“はっさく”は2022年7月頃から、てんかん発作を起こすようになりました。頻度は1年に1~2度程度で、発作後しばらく安静にしていると回復するため、無治療で経過観察をしていました。原因精査のため麻酔下による脳のMRI検査を検討しましたが、捕獲作業が発作を誘発したことがあり、捕獲や麻酔のリスクが大きいと判断し、検査保留にしていました。
2024年4月に症状に変化があり、てんかん発作後に眼振、旋回、斜頸などの神経症状が新たに見られました。症状から脳か内耳に異常があると考えられたため、炎症を抑えるステロイドや神経の回復のためのビタミン剤の経口投与による治療を行い、その後症状は回復しました。しかし、2025年1月に、眼振、旋回、斜頸が再燃し、バランスが取れずに起立できなくなってしまったため、集中治療のために入院して注射や点滴を行いました。治療の結果、斜頸は残ったものの、走ることができるまでに回復しました。このような経過を経て、2026年9月の初旬ごろより徐々にごはんを食べる量が減り、呼吸状態の悪化や衰弱の進行が進み、9月23日(水)に肝不全で死亡しました。
死亡後は岩手大学動物病院にご協力いただき、速やかにCT検査を実施しました。その結果、CT検査で診断できる脳腫瘍などの明らかな病変はなく、てんかん発作の原因はわかりませんでした。しかし、右耳に慢性の内耳炎があり、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる蝸牛という器官が融解し、眼振や旋回、斜頸などの症状を起こしていたことがわかりました。
生前に診断することはできませんでしたが、死後であってもでき得る検査を行い、結果をこれまでの症状や治療と照らし合わせることで、診断の目安にしたり、より良い治療につなげるための情報として、今後の医療へ還元していきたいと思います。また、CT検査では肝不全の他にもいくつかの異常が見られたため、一つ一つの結果を確かめながら解剖を行いました。CT検査と解剖の結果から、直接の死因は絶食期間が長引いたことによる肝リピドーシスと推定していますが、現在、岩手大学のご協力でより詳細な病理組織検査を行っています。最終的な結果が出るまでには少し時間がかかると思いますが、結果が出た際には再度振り返りを行いたいと思います。
残念ながら全ての動物で同様な精査ができるわけではありませんが、小さい動物も大きい動物も、できる限り丁寧な診断と個体の性質に合わせた治療で、今後の診療につなげていきたいと考えています。
盛岡市動物公園ZOOMO

