盛岡市動物公園ZOOMOでは、アフリカゾウのメス“マオ”の人工授精に取り組むこととなり、準備を進めてきました。
2023年3月、盛岡市の事業として日本初のアフリカゾウの人工授精を行う為の協定を、盛岡市とZOOMOを運営する(株)もりおかパークマネジメントで締結し、6月にゾウの人工授精の第一人者であるドイツのDr. ヒルデブラントと事業を行う為の契約を締結後、人工授精の実施を目指し進めてきました。今まで、“マオ”の発情とDr. ヒルデブラントのスケジュールが合わないことや、人工授精に使用する野生由来の冷凍精子をフランスから輸入する手続きに時間がかかったことなどにより、実施には至っていませんでしたが、7月3日(水)~4日(木)に人工授精に取り組むこととなりました。
7月4日はアフリカゾウのメス“マオ”をご覧いただくことができません。何卒ご了承くださいますようお願い致します。(※7月3日は休園日となっております。)
〇盛岡市動物公園のアフリカゾウの飼育状況
当園では1991年に海外より野生個体を導入し、オス“たろう”とメス“はなこ”の飼育を開始しました。2001年にメス“はなこ”が妊娠しましたが、死産、難産のため母子共に死亡しました。2006年に新たなメス“マオ”を東京都多摩動物公園から借り受け繁殖に取り組みましたが妊娠には至らず、2018年にオス“たろう”が死亡しています。
〇ゾウの人工授精とDr. Hildebrandt
国内での実例はありませんが、海外では30年以上前からゾウの人工授精の試みが始まっています。1990年代前半までは全て失敗に終わっていたが、Dr. Hildebrandt(ドイツ,ライプニッツ研究所動物園野生生物研究センター) は2000年に人工授精による繁殖に成功し、その後、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルで、50以上の妊娠例(アジアゾウとアフリカゾウの事例は約50%ずつ)の実績をもつ、ゾウの人工授精における第一人者です。
〇他の動物園との協力体制について
秋田市大森山動物園と仙台市八木山動物公園と共に東北3園アフリカゾウ繁殖プロジェクトに取り組んでいます。年2回の東北3園アフリカゾウ繁殖検討会議を開催。またアフリカゾウ飼育園館とも密に連携をし、“マオ”の帰属先である東京都多摩動物公園と協力して事業を行い、人工授精当日は全国の動物園からも数園が視察に来園することとなっています。