お知らせ

2023.11.21
重要なお知らせ

動物医療費のご支援についてのご報告とお礼(令和5年9月)

9月もたくさんのご支援をいただきありがとうごいざました。また、お礼とご報告が遅くなってしまいすみません。

9月はニホンリスのオス“№315”の体調が悪くなり入院しました。レントゲンやエコー検査をしたところ、お腹の中に腫瘤があることが分かり、状況から左の腎臓が腫大していると推測されました。飼育下のニホンリスは野生に比べて長生きすることも多く、野生下での寿命が約3~4年なのに対し、当園では過去に9才まで生きた個体もいます。しかし、傾向として大体4才くらいから腎臓の機能が低下する個体が増え、高齢で亡くなった場合、解剖で腎臓に異常所見がみられる個体がほとんどです。

腎不全の原因は遺伝だったり、食べ物だったり、ストレスだったり様々です。当園のニホンリスでなぜ腎不全が多いのか疑問だったのですが、数年前から岩手大学や東京農工大学の先生たちにご協力いただき、原因を研究するようになりました。    これまでの傾向や研究結果を踏まえ、年齢や尿検査、血液検査からある程度の腎機能の評価や、病態の推測が出来るようになったと感じています。

体が小さいニホンリスにストレスのかかる検査を積極的に行うことはなかったので、検査結果をもとに治療をするという事あまりできませんでした。今では、なるべくストレスのかからない検査から積極的に行い、検査結果を根拠に次の検査に進み、治療も行う(今のところ“やってみる”…という表現が正しいかもしれません)ようになりました。治療の効果を評価することも必要なのですが、それはこれからの課題です。

ちなみにストレスのかからない検査として、落下した尿を採取して尿検査をするという方法があります。飼育担当が工夫をし、地面に尿が落ちる前にバットでキャッチするという方法を行うようになりました。獣舎の構造にもよりますが、排尿のタイミングが分かれば容易に採取できます。個体に触ることなく採取ができるので、何よりニホンリスにとって一番ストレスの少ない方法です。また、腎機能の低下は初めに尿の異常に現れることが多いので、尿検査はとても有用な検査になります。

冒頭の“№315”は検査を経て、しばらく点滴などの治療を行っていました。状態も安定し栗などの好きな物を食べながら過ごしていましたが、その後残念ながら亡くなりました。亡くなってもまたニホンリスの病気の研究に活かし、次の命に繋げられればと思います。今月はニホンリスの話題のみになってしまいましたが、今後もいろいろ話題も交えながら動物たちの診療についてご報告いたします。また、今後も皆様のご支援やお気持ちを動物たちに還元できるよう医療レベルの向上を目指していきます。引き続きご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

↓令和5年9月の動物医療費のご支援額や使途についてご報告します。

動物医療費のご支援についてのご報告とお礼(R5.9)