お知らせ

2022.08.07
おしらせ

動物医療費のご支援についてのご報告とお礼(令和4年6月)

たくさんのご支援をいただき、ありがとうございました。令和4年6月の動物医療費のご支援額や使途についてまとめましたので、ご報告します。

5月末に引き続き6月前半はアフリカゾウのメス“マオ”の疝痛(腹痛)の治療で慌ただしい日々でした。疝痛は馬などに起こる腹痛の総称ですが、その原因は下痢や便秘、ガス、寄生虫、砂等の異物など様々です。また、消化器以外にも胆石や尿結石、子宮の異常で腹痛が起こることもあります。たかが腹痛と言っても、命を落とす事がありとても怖い病気、正確に言うと病名ではなく病状です。昨年はグレビーシマウマのメスの“キララ”を疝痛で亡くし、とても悲しく悔しい思いをしました。

“マオ”の場合、これまで何度か疝痛を起こしたことがありますが軽症で済んでいました。しかし、今回は原因がはっきりせず、痛み止めを使用しても腹痛が治まらないため不安がつのります。 “マオ”の顔が日に日に元気を失っていくのが分かりました。腹痛で食欲が落ちると薬が飲めないだけでなく、脱水が起きることで消化管の動きが悪くなり、更に状態が悪くなるといった悪循環になってしまいます。“マオ”の限界が来てしまう前に治さないといけません。すぐに静脈点滴による治療を行うことになりました。

“マオ”は普段からトレーニングを行っていたため、いつものようにまず“マオ”に柵と平行に体を寄せてもらい、続いて柵の間から耳を出してもらいます。その後、獣医師が台の上にあがり、“マオ”の耳の動きに合わせて自分の体も動かしながら静脈に点滴用の針を入れます。針が動かないようにテープで固定したら、その後は数時間かけて20リットルもの輸液剤と薬を入れていきます。飼育スタッフと動物病院スタッフ、その他のZOOMOスタッフがチームを超えてみんなが協力し、4日間連続で人力(手動)による点滴を行いました。この点滴をきっかけに少しずつ食欲が出てきて数日後には薬が飲めるようになりました。そこからは順調に回復していきました。今ではすっかり元気になって、本当に助かってよかった…2ヶ月程経った今でもよく思い返します。何より“マオ”がつらい治療に協力し、耐えてくれたから今の元気な“マオ”がいます。しかし、どうやらそれと引き替えに、獣医師の私は嫌われてしまったようです。内心とても切ないながら、少しずつ信頼関係を取り戻せるように頑張りたいと思っています。

これからも皆さんからの応援やご支援が動物たちに届くよう、診療を続けていきます。

 

 

動物医療費のご支援についてのご報告とお礼(R4.6)