お知らせ

2022.06.07
生き物情報

アフリカゾウのメスの“マオ”の体調不良について

体調不良のため治療を行っているアフリカゾウの メスの“マオ”について、これまでも当園のSNSで経過をお知らせしていましたが、現在の飼育状況や治療経過の詳細についてご報告いたします。また、たくさんの方より励ましのお声を頂いておりますことを、この場をお借りして心より感謝申し上げます。今後もスタッフ一丸となり“マオ”が回復するよう治療を進めていきます。

 

【飼育状況】

5月29日の未明より、横臥や食欲低下が見られ、便の一部に小石混じりの砂が混入していたため、疝痛(腹痛)を疑い治療を開始しました。6月1日には便に砂や小石の混入は無くなり、その後食欲も回復傾向でしたが、6月3日より再度、横臥や動作緩慢などの症状がみられるようになりました。現在も食欲や便量が安定しない状況が続いています。現在は治療を進めると共に体力の回復に努めています。

 

5月29日…夜2時頃より腹痛による横臥や採餌不良あり。便の一部に砂と小石が混入。注射治療後、食欲が回復傾向。

5月30日…朝から採餌不良と動作緩慢の症状あり。便の一部に砂と小石が混入。治療するが午前中は動作緩慢。収容後に注射治療し、元気出る。絶食し胃腸の回復を図る。

5月31日…腹痛による横臥や両後肢を高い所(水飲み設備)に上げる立位休息あり。昼頃より食欲が回復傾向。朝夕の注射治療を継続。

6月 1日…便量が増加し、一部に砂と小石が混入。採餌不良、動作緩慢の症状あり。朝夕の注射治療を継続。(6/1以降、便に小石や砂の混入はなし。)

6月 2日…動作緩慢と採餌不良の症状あり。便量は増加傾向。夕方の注射治療後、食欲が回復傾向。

6月 3日…夜間の横臥睡眠、立位休息が増加傾向。採食と排便の計量を開始し、マオの状態変化の把握に努める。動作緩慢、採餌不良の症状あり。暖房の稼働を開始し、室温の安定を図る。

6月 4日…排便が増加傾向。朝夕の注射治療継続。午後より動作緩慢、採餌不良の症状あり。

6月 5日…夜間の採餌がなく、便量が減少する。朝昼に注射治療。朝より動作緩慢であったが注射後一時的に食欲を回復する。

6月 6日…夜間の横臥睡眠と採餌行動が増加する。日中の採食行動も増加傾向だが、点滴を実施し代謝の良化を図る。

 

【治療経過】

“マオ”は5月29日から食欲低下や横臥を繰り返すなどの疝痛(腹痛)が見られ、治療を行っています。原因ははっきりわかっていませんが、状況から、砂や小石を食べ、それが胃腸に停滞している可能性などを考えています。しかし、腹痛は他にも胃腸ガス・便秘・下痢・寄生虫や消化器以外の異常などでも起こるため、治療を進めながら他に原因がないかを確認しているところです。現在、治療は食欲と便状を見ながら、痛み止めと胃腸薬、便の排泄を促す薬、静脈点滴などを行っています。これまでに痛み止めの注射をすると食欲が上がり、調子も良くなる傾向にありますが、時間が経つとまた動きや顔つきが悪くなるという状況を繰り返しています。現在もまだ体調不良が続いているため皆様にはご心配おかけしていますが、ゾウの治療経験の豊富な獣医師にも相談しながら、“マオ”が回復するよう治療を進めています。(※以下に治療経過をご報告します。)

 

5月29日…疝痛を疑い、治療を開始。腹部の張りはない。血液検査も異常なし。

胃腸薬、消泡剤(ガスを取る薬)内服、消炎鎮痛剤注射。

5月30日~6月1日…動き良化し、食欲やや回復、便とともに砂排出。

疝痛による横臥繰り返しは減少する。尿検査は大きな異常なし。

胃粘膜保護も目的として胃腸薬の種類を増やし、消炎鎮痛剤の注射を継続。

食欲は回復傾向ながら好きなものしか食べない。便やや酸臭あり。

6月2日 …昨晩の疝痛なく顔つき良化ながら、午後から再び動作緩慢、顔つき悪化。便量減少。

検便(寄生虫検査)異常なし。便と鼻腔粘膜の細菌培養検査異常なし。

胃腸薬の内服と注射、消炎鎮痛剤の注射を継続する。胃腸薬の経口投与を嫌がる。

6月3日~5日…昨晩から疝痛あり、顔つき悪化。食欲低下。便量少ないが硬さ正常、やや酸臭あり。

胃腸薬の注射、消泡剤の内服に加え、下剤で排便を促し翌日には排便多い。

胃腸薬と消炎鎮痛剤の注射後は疝痛症状軽快し採食するが、疝痛再発を繰り返す。

尿検査に大きな異常なし(6月5日)。

6月6日 …疝痛を繰り返すものの、日中の食欲はやや回復。

胃腸薬投与と抗生剤・消炎沈鎮痛剤の注射を継続。

やや脱水傾向あり(血液検査)、全身の代謝改善のため補液剤他の耳からの静脈点滴を開始。

 

  • 現在もマオの体力の回復に努めながら、腹痛の原因を推測し治療を行っています。

 

盛岡市動物公園ZOOMO

スタッフ一同