たくさんのご支援をいただき、ありがとうございました。令和4年3月の動物医療費のご支援額や使途についてまとめましたので、ご報告します。
3月はニホンイノシシに豚熱ワクチンを接種しました。豚熱は野生のイノシシと豚の間で問題になっている感染症です。豚熱から豚もイノシシも人の生活も守るにためは、家畜、野生動物、ペットなどの業種を越えて対策を行う必要があります。動物園も例外ではなく、One World-One Hearth(人、動物、環境の健康はつながっている)の考えを基に、人や動物たちを取り巻く問題を解決していく事が大切だと考えています。また、今回はハズバンダリートレーニングの成果で、初めて吹き矢を使わずにイノシシに注射をすることができました。動物たちにやさしい方法で注射をすることができれば、治療への恐怖やストレスを減らすことができます。他にもニホンイヌワシ“出羽”やアナグマ‟2番さん“の健診を行いましたが、大きな問題はありませんでした。今後も健診を継続したいと思います。
また、ホンドタヌキ3頭についても一斉健診を行ました。全頭8歳以上と高齢化が進んでいることもあり、“スミキチ”に肝臓腫瘤、“コタロウ”は軽度肝障害、“マル”を含めた全頭に変形性脊椎症などの異常が見つかりました。この結果を受けて、飼育チームと病院チームで今後のタヌキたちの治療やケアについて話し合いを行い、負担の大きい麻酔下検査や手術などの積極的な治療はしない選択をしました。幸い今のところ3頭とも食欲があり元気です。ただし、今後様子を見守るだけでなく、ハズバンダリートレーニングを進め、ストレスなく採血や治療のための注射ができることを目標にしています。
また、ホンドタヌキの“タヌヨシ”は晩年皆さんにたくさんの応援をいただきながら、3月12日に亡くなりました。11歳でした。“タヌヨシ”は岩手大学動物病院でエコー検査を行い、褐色細胞腫という副腎腫瘍が疑われましたが、亡くなる直前まで好きなものを食べたり、日向ぼっこをしたりと穏やかな様子でした。“タヌヨシ”については、これまでに目標にしてきた生前診断に近づけましたが、その後の治療については、動物たちの年齢や体への負担、術後管理が出来るかなど(犬や猫等は手術後に静脈に点滴をしたり、傷をなめないようにエリザベスカラーをしたりしますが、野生動物では難しい場合が多いです)さまざまな問題を考慮しなければなりません。今後も動物たちにとって最善の選択ができるようしたいと思います。
長くなりましたが、高齢動物たちの穏やかな余生の過ごし方を考えた1ヶ月でした。こからも皆さんのご支援を動物たちの健康のために使わせていただきます。引き続きご支援よろしくお願いいたします。